こんにちは、ペケッターテックのよだれ/YODAREです( ᑸ )
X(Twitter)のブロックから非表示機能がなくなる、いわゆる「ブロック貫通」が2024年11月3日に開始されました。
不意に、自分の興味ある界隈で近しい人にブロックされていることを知り、ダメージを食らったりする人を結構見ます。
ブロック貫通実装の理由として、イーロン氏がブロックされまくってるせいとか、コミュニティノートがブロックされてても付けられるようになどいろいろ言われていますが、どちらも回避策や代替策があったりで今ひとつ理由として弱いです。
現在、CEOからは退いて取締役兼CTO(最高技術責任者)となっているイーロン氏によるブロック仕様言及は、昨年2023年からされていました。1年掛かりで実現したことになります。
ここで、個人的に異なる観点から「ブロック貫通実装の実際の理由(?)」を考えてみます。
【X】ブロック貫通は「処理負荷軽減」説【Twitter】
万ブロックしている人も珍しくない
以下は、いよいよブロック貫通実施の噂が出始めたときにバズっていた投稿です。
イーロン氏運営以降、広告売上低下に伴って大量に出る広告や、青バッジの収益化で大量発生したインプレゾンビのせいでブロック需要は増え、千単位から万単位でブロックしている人もいます。
自分のフォロー数が2〜3桁程度なら、それよりも多くスパムなどブロックしてる人も少なくなさそうです。
ブロック処理は間引けない
ホームの「フォロー中」タブから、フォローユーザーの投稿が間引かれてるのに気づいたことがある人は多いと思います。
フォロー中タイムラインを構成する上で、処理負荷を軽減するために適当に間引いてるんだと思われます。
これはイーロン氏運営前からあり、運営以降は広告売上の減少や、買収時にLBOで作った利払い債務等でインフラコストが抑えられ[↗︎]、サーバーの処理能力はTwitter時代にくらべて落とされていると思われます。さらに間引きが激しくなっているかもしれません。
ここで問題になるのが数千、数万単位で登録しているユーザーもいるほど「増大したブロックネットワーク」の処理です。
フォロー中と違って、ブロック処理は間引いてサボる事が許されません。
もし抜けが1つでも出たら、それはブロックの機能不全になります。(※リストは前から普通に貫通らしいので仕様)
さらに、フォローは外す機会がありますが、ブロック登録は減る事がほぼなくひたすら増大していきます。スパムとかいちいち外さないはずなので。
従来ブロックは「双方向」でコストが高い
フォローネットワークはホームの「フォロー中」TL構築のみにしか関与しませんが、ブロック処理はトレンド検索からリプ欄からあらゆるタイムライン構築で毎回処理されることになります。
そして、従来ブロック処理は「双方向」に働きます。ブロックをしたら自分のタイムラインから消すのと同時に、相手には自分の投稿がロードされないようにする必要があります。
つまり、従来ブロックは被ブロックユーザー側のタイムライン構築にも処理コストを発生させます。
ブロックで投稿間引くなら軽くなるんじゃ?と思うかもしれませんが、逆です。
投稿取得APIは、必ず一定量の投稿を揃えてから返す仕様になっているため、もしブロック処理で抜けが出たら、そこを埋めるために次の投稿の探索が余計に発生することになります。
これが実質ミュート+エンゲージ禁止的な新ブロックでは、被ブロックユーザー側での非表示(抜け補填処理)が不要となるため、処理コストがその分軽減できることになります。
Xユーザー全体でそのコスト分が浮くとなると、チリつもで相当なサーバー処理の軽減が図れそうです。常態的にコストを下げることができます。
なぜ処理負荷が問題か?=お金がない
ブロック改訂関連の話がイーロン氏から出て騒ぎになったのは、2023年の8月。
そのちょっと前には、スパム対応処理などしていたGoogleCloudPlatformと未払いで揉めたり、さらにそのちょっと前にはAWS(Amazonのクラウドサービス)の支払いを無視したり、オフィス賃料を滞納して訴えられていたりしてました。
つまり、それだけお金がない状態です。その原因と思われるのは、イーロン氏のLBO買収でできた利払い債務推定年12億ドルです。
- 2022年10月 イーロン氏Twitter買収完了
約125億ドルLBOから利払い年12億ドルがTwitter債務になる - 11月 インフラコスト年10億ドル削るよう指示
- 2023年1月 オフィス賃料未払いで訴訟される
- 3月 AWS代払わずAmazon報復で広告出稿停止
- 6月 GCP代払わずGoogleと揉める
- 6月 GCP代払って契約更新
- 8月 イーロン氏ブロック機能を削除すると言い出す
- 8月 ブロック完全削除はストア規約違反と言われる
- 2024年11月3日 ブロック(非表示)貫通実施
フォロー中TLが間引かれるようになったのと同じように、増大したブロックネットワークの処理負荷が無視できなくなり、自身の買収でできた債務返済のためにもサーバーコストを上げるわけにもいかず、負荷軽減としてミュートに近いブロック貫通仕様が実装された・・・というのがこの記事の筋です。
クラウドサーバーは計算量に応じた従量課金制のことが多く、処理量に機敏に反応します。増えればそれだけお金がかかっていきます。減らせば下がります。
Twitter時代収益の9割占めてた広告売上も、イーロン氏のカオスを危惧した広告主が逃げ半減してから、NBCユニバーサルの広告担当幹部だったリンダ・ヤッカリーノ氏をXのCEOにヘッドハントし、そのコネクションを使って回復しようとしました。が、その後、ネオナチ投稿の隣に大手広告が出てる状況が確認され、それをきっかけに米国では大口の広告主離れが発生しています。(※2023年11月)
サーバーコストを落としたい動機は十二分にあるわけです。
まとめ
イーロン氏運営以降、広告売上減少の補填かホーム上の広告が増えたり、収益化に伴ってインプレゾンビが大量発生したことで、Xユーザー全体のブロック数は増大していると思われます。
それを示唆するかのように「ブロックするのをやめよう」的な投稿をイーロン氏はしています。
そして減った広告売上を回収するために広告を増やせば、嫌がられブロックされる機会がさらに増えます。そういった悪循環が、すでにこの1~2年で出来上がってしまっていて、その帰結がブロック貫通仕様というコストカットなのかもしれない、という話でした。
ただ、自分をブロックしている人が不意に見えるようになったため、「ブロック返し」や「追加ミュート」で、従来ブロックと同じ処理負荷状態にじわじわ還っていってしまっているんじゃ?という事には触れないでおきます。(触れてる)
最後に、うち開発のブラウザ拡張「Badges: New Color for X-Twitter(バッジニューカラー拡張)」では、ブロック貫通下で目にしうる「自分をブロックしているユーザー投稿の非表示」機能を新たに実装しました。
ブラウザ側(クライアント側)のみの処理で非表示が完結するので、上述してきたサーバー上でのブロックミュート処理機序を考えると、ブロックミュート返しされるよりは、Xにとって優しい拡張になっています。
興味ある人は、この記事のあとのブロックに入手リンクを掲載しているのでお試しください。(※Edge版はまだMS審査中。遅れてリリースされます)
そんじゃまた ( ᑸ )